2008-11-19
【思想の旅路】
"世論"とは万人の意見であって、しかもだれの意見でもない。"世論"はどの人間のもとにも、しかとは見出されないにもかかわらず、しかも圧倒的多数者の別名にほかならない。
現行憲法第一条のいう「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である」という規定は、日本史の由緒正しい伝統に則したものだと言えるであろう。権力と権威とが分立していたのが長い日本史の特徴であり、そこには期せずして偉大な政治的英知が蔵されている。
遺伝生物学とそれに関連する分野の科学技術は、まさしく"神を演じる"性格のものとなっている。それはまた、"神不在"のヒューマニズムが辿りついた袋小路であり、陥穽というべきであろう。なぜといって、人間は"神の知識"を手にしたものの"神の心"は知らないままでいるからだ。