2008-12-10
【他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス】
自己の「意見」を述べた箇所では、私という人間の性格、気質に起因する先入観や偏見からいかばかり自由でありえただろうか。そしてときには、自己弁護をしたいという深層心理や巧妙に自己を偽り飾ろうとする本能的欲求が、歴史の"後知恵"をもって恰もそうでないかのごとく装い、狡猾に紛れ込むのをどこまで拒否することができただろうか。公正と冷静をつねに心掛けながらも、筆先がときには無意識のうちに己の感情や感傷の震えに曲げられてしまってはいないだろうか。私には、否と言える自信はとうていない。