[五百旗頭真の言葉]

2009-10-03

【歴史を変えた事件】

「謀略により機会を作製」したあと、「国家を強引す」るに至るまでには、気が遠くなるほどのステップが必要である。「謀略」とはウソを根拠とすることであり、かつ実力行使であるから人殺しを伴う。平時の感覚からいえば、とんでもない犯罪行為も、もし「国家を強引」してしまえば、「回天の偉業」のための「義挙」とされうる。逆にもし既存秩序をくつがえさなければ、秩序が「犯罪行為」を裁くであろう。


明治体制は困った制度だった。1889(明治28)年にスタートした内閣制度は、首相に大臣任命権を与えたが罷免権を与えなかった。それでいて、閣議決定は全会一致を要したので、あくまで異を唱える大臣がいたら、決定を回避するか、または閣内不統一で総辞職せねばならなかった。

 

2008-12-10

【リベラルからの反撃】

最近の国家主義的にはりきる人から見ると、北朝鮮や中国のやっていることはなんでもありのひどい国だとなってしまう。が、それはかなり局部を見て思い詰めているんであって、国際環境全体は全く帝国主義ではない。むしろ、不用意に力を振り回す国は国際社会から指弾されるから、そんなやり方は通用しない。

 

2008-11-27

【ミスマッチが招いた「十五年戦争」の発端】

クールな対応と優雅な振る舞いを身上とする外務省は、どうも突発危機に弱い体質を持つ。危機管理機関であれば飛び上がって反応し不眠不休で走るような事態にあっても、外務省はルーティーンとプロトコールの世界のすりガラスに隔離されたような認識と対応に止まることがある。満州事変勃発の夜も、真珠湾攻撃の前夜も、きわめて日常的な事由のなかで危機への対応に不全をきたしたのである。

[ 五百旗頭 真 ]