[たくきよしみつの言葉]

2011-02-20

【デジカメに1000万画素はいらない】

デジカメは魔法の小箱ではありません。人間がそこに何らかの関与をすることで、写真の出来が大きく違ってくるからこそ、趣味としても奥が深く、長く楽しめるのです。ごく簡単な仕組みを知り、工夫するだけで、見違えるような写真が撮れるのに、それをしないのは実にもったいないことだと思いませんか。


デジカメの世界にはびこる最大の「嘘」は、「高画素=きれいな写真」という公式です。嘘というよりは「思いこみ」というべきでしょうか。


素人の私は、当時サンヨーが1000万台以上のデジカメを生産していたという事実を知りませんでした。興味を持って調べてみると、サンヨーは日本最大のデジカメ生産メーカーであり、そもそも「デジカメ」という言葉もサンヨーの登録商標なのです。しかし、デジカメ売り場でサンヨーブランドの製品はあまり見かけません。実はサンヨーが生産しているデジカメの95%は、オリンパス、富士フイルム、ニコンといったメーカーからの受託生産なのです。


同じレンズが、組み込まれるカメラにより、カールツァイス、ライカ、キヤノンといった別々のブランド名を名乗っていて、そこにはタムロンなどのレンズ専業メーカーも絡んでいるようなのです。


かつてサンヨーはオリンパス、コニカミノルタ、ニコンなどのOEMを一手に引き受けていました。その後、台湾のOEMメーカーに得意先を奪われ続け、どんどんシェアを落としていきます。


私たちが手にしている小型デジカメはどこの製品なのでしょうか。ニコンやペンタックス、オリンパスといったおなじみのカメラメーカーのブランドが冠されていても、生産しているのは、サンヨーか台湾のOEMメーカーのいずれかでしょう。


カメラ好きなら、ライカやカールツァイスといったブランドは信頼の高級ブランドというイメージを持っています。実際、ライカのレンズ、カールツァイスのレンズを売りにした製品があります。しかし、デジカメ用の「カールツァイス」や「ライカ」レンズが、ドイツで作られているわけではありません。実際はコシナ、京セラオプテック、タムロン、シグマといった日本のレンズメーカーが作っていたりします。


タムロンのレンズユニットは多くのデジカメに採用されており、全世界のデジカメの実に25%はタムロン製レンズを搭載していると言われています。業界の掟として、こうしたOEMの実態は極秘にされています。私たちは、愛用するデジカメがどういう出自のものか、ほとんど知ることができません。


風景を撮る場合、「いい景色」がなければいい写真が撮れないと思いがちですが、そうでもありません。写真の世界では、いい風景、面白い景色は、ある程度撮影者の意図で作り出せるのです。まずは、漫然と撮るのではなく、風景の中にワンポイントを見つける習慣をつけてください。写真がピリッとしまります。


よく晴れた日はきれいな写真が撮れそうに思いますが、実は、曇天のときよりはるかに失敗写真が生まれます。

 

2008-11-28

【デジカメに1000万画素はいらない】

デジタルカメラ(デジカメ)の世界には、大きな嘘や迷信、間違った「常識」がはびこっています。その最たるものはカメラの高画素化競争でしょう。今の技術で500万画素のCCDを作れば、確実に1000万画素のデジカメより「きれいな写真」が撮れるのに、メーカーは「結果的に写真が汚くなる」ことを承知の上で、無理な高画素CCDを開発し続けています。理由は単純で、高画素をうたったほうが「売れる」からです。結果として、ユーザーは本来実現できる性能以下のカメラを買わされているわけで、技術者にとってもユーザーにとっても、これほど馬鹿げた不幸はありません。

[ たくき よしみつ ]